第四章 王子と姫の憂鬱

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しばらく無言の時間があってから彼女は徐に僕の向かい側に座り込んだ。 「なんで座っているの?僕に何か用なの」 「…お茶、飲んで」 「は?」 「ご飯食べたら水分取った方がいいよ」 「それなんの掟?別に要らないけど」 「……」 俯きながらボソボソ喋る様子に段々とイラつきを感じて来た。だけど彼女が向かいに座った途端、先刻までいた遠巻きの女子高生たちがいなくなっているのを見てほんの少しこの状態がありがたいかもとか思ってしまった。 (まぁ、竹内さんも泉水と張り合う程の容姿だからな、虫よけ程度には役に立ちそう) そんな酷い事を考える僕は僕自身に少し嫌な気持ちになった。 「…はぁ」 「四回目」 「え?」 「ため息。今ので四回目」 「何、数えていたの?気持ち悪いな」 「……」 大きな目でジッと見つめられ少しだけ虫よけとして利用している事に対して申し訳なさを感じた。 (仕方がない) 「で、何?用があってつけて来たんだろう?」 「……」 「訊いてあげるからいいなよ」 「……」 「竹内さん」 「…ごめんなさい」 彼女は深々と僕に向かって頭を下げた。
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