第四章 王子と姫の憂鬱

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図書館を出る頃にはすっかり暗くなっていた。 「送って行くよ」 「えっ」 一緒に館内から出た竹内さんに義務感満載でそう言った。 「もう暗いし君は女の子だしね」 「……」 「いっておくけれどそこにはなんの感情も存在していないからね」 「…すぎ」 「は?」 「武流くん…優し過ぎ」 顔を赤らめながら少し俯き加減になる竹内さんに少しだけ嫌な気持ちになった。 (ダメだ…多分勘違いさせている) もう一度この行動に他意はないと釘を刺しておかなければと思った。 「あのね、竹内──」 「でもね、大丈夫だから」 「え」 「此処から家までそんなに遠くないし…それに」 「……」 「勘違い、したくないから」 「……」 「じゃあね、バイバイ」 最後にはいつも見かける笑顔を振りまいて彼女は去って行った。 「……」 闇夜に彼女の姿が消えて行くまでつい見届けてしまった。 (なんだ、意外と馬鹿じゃないのかも) それはほんの少しだけ彼女のことを見直すきっかけになった出来事だった。
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