第六章 彼氏彼女

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「とあるSNS上では匿名になっているけどその噂になっている人物の条件が恐ろしく小ノ澤に酷似していて…なんか転校前の学校ではかなり有名だったみたいです」 「……」 「不特定多数の女の子が常に周りにいて、中には歳上の人もいたみたいで小ノ澤、あのガタイだし結構街中でも目立っていたって。だからきっと女絡みのことで学校やめさせられて転校して来たんだって」 「……」 「でも所詮噂だからと思ってあたしは半信半疑で…実際小ノ澤と喋ってそれなりの付き合いをしたら結構いい奴だし噂のような軽薄さとか女にだらしがないって感じはなかったんですけど…その、急に先輩と付き合っているみたいな雰囲気になったのを見てなんか嫌な予感がしてそれで心配になって気にしていたんです」 先刻から山口さんが語る話はなんとなく頭に留まることがなくてスルリとすり抜けて行くような内容だったけれど…… (それってつまり…忍が女たらしっていうこと?) 何故かそこだけはドンッと頭の中にこびりついてしまっていた。 「先輩、小ノ澤といつから付き合っているんですか?まさか付き合ってすぐに手を出されたってこと、ないですか?」 「……」 ぼんやり浮かんだのは告白した日のこと。あの薄暗い公園で告白をしたその日に私は忍と──
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