第一章 王子様の秘密
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第一章 王子様の秘密

ずっとずっと願っていた。 僕の秘密を君が知る時が来ればいいのにと。 だけど其の秘密を君が知った時、僕たちはもう元の関係には戻れないのだろうね──。 「…ねぇ、武流くん」 「……」 「ほらぁ、教科書なんて仕舞って?こっちに来てよぉ」 「……」 ベッドの上に座って少しずつ胸元を開けている彼女を見て(またか)とため息が出た。 確か試験勉強がしたいから家に来て──という誘いだったはずなのに、これはどう考えても勉強目的の誘いではないだろう。 「竹内さん」 「ん、なぁに?」 「勉強しないなら僕は帰らせてもらうよ」 「えぇっ、冗談でしょう?!…其れとも、そういう焦らしプレイ?」 「……」 「武流くんだって最初からこういう事が目的で付き合ってくれたんでしょう?」 「……」 「わたしね、武流くんの事がずっと好きだったの。でも武流くんは泉水さんと付き合っているって噂があって…だから告白なんて出来なかったんだけど…」 「……」 「でも今日ね、勇気を出して泉水さんに直接訊いたの『武流くんと付き合っているの?』って。そうしたら違うって云って…これはもうチャンスだって思うでしょう?」 「……」 (泉水のやつ…何勝手に否定しているんだよ) 噂は噂のままにしていればいいものを──と思ったけれど、こういう状況になった今では何もかも遅い。 「ねぇ、いいでしょう?わたし武流くんと付き合えるならなんでもするわ!わたしには武流くんしかいないって思っているの!」 「……」 「其れに…武流くんだって結構遊んでいるんでしょう?そんなにカッコいいんだから当然だと思うけ──」 バンッ! 「!」 思いっきりテーブルに教科書を叩きつけた。 其の破裂音と僕の蔑んだ視線で彼女は一瞬で青ざめた。
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