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「三千体のエキナは破壊。彼の死体は何処にもありませんでした」
「そうかそうか。くはは!いいぞ!それでこそわざわざ救った甲斐があるというもの。で?その後の足取りは?」
雷帝は楽しそうにチョモスに質問する。
「どうやら東地区、リュリューシュケル渓谷に向かったようですな」
「あそこか…。あそこも独立国家があったな。さて、面倒くさいところに行ったものだ」
雷帝はサーコートを脱いで背伸びをする。重々しい枷から解き放たれた爽快感。サーコートの下には白いシャツと黒いパンツという身軽な服装。だからゴツゴツしたブーツが目立つ。音を鳴らし歩きながら雷帝は自室へとたどり着くのだ。チョモスにコートを預け豪華絢爛、普通の人間がいくら働いたら手に入れられるのかわからない漆が美しい椅子へ座る。この椅子に座るとき、実感できる。今自分が絶対安全な場所に立場でいることへの安心感。この感覚は到底普通の性的興奮では味わえないだろう愉悦に浸ることができる。つま先から伝わるゾクゾクとした感覚が脳に伝わる。なんとも言えない身悶えするような抑え用のないけど、ぐっと身構えてしまう。「あぁ、この感じだ。この感じ。これを味わう瞬間が最高に気持ちいい」
「左様で」
チョモスが紅茶を淹れて雷帝に差し出す。ぶっちゃけ味なんてどうでもいい。どんな味でも、どんな茶葉でも、どんな食器でも構わない。ただの体裁なのだから。
「この後、行かれますかな?」
「いいや、あそこはめんど臭い。だが、領地拡大はしたいしな。そろそろ人の受け入れもきつくなって来たか?」
「これを」
渡されたのはオーティムの全体図だ。
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