男は世界とクロスする

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チョモスの実力は正直知らない。初期メンバーから一緒にオーティムをでかくしてきた。反対勢力は雷帝の力で瞬殺してきたため、ヤトラの実力も他の幹部達の実力も知らない。だがそれでいい。雷帝は誰にもとらわれない。情報というのは時に人を縛り付けてしまう。知らないというのは不自由ではあるが自由でもある。まぁ、自分の部下の能力ぐらいは知っておけと思うところもあるがヤトラが選別している。定期的に幹部の入れ替えもあり、元幹部は全員ヤトラが殺しているらしい。理由は恨みで反抗されるのが面倒だからという理由らしいのだ。その方法等も知らないし、聞く気もないが必ず幹部が変われば面通しがある。誰が幹部か知らないということは決してない。雷帝は王として住民全員の顔と名前を覚える。信頼を得るためでもあり、飼育するためでもある。 「ヤトラ、民衆の様子は?」 「そんなこと聞かなくてもモニターで監視されては?」 「ヤトラの意見を聞くのも面白いのだ。モニターで見ているだけでもいいのだがやはりそれだけではつまらない」 「まぁ、そうでしょうね〜。でもつまらないでしゅよ?オーティムは安全圏内と言われているだけあって何事もなく。住民同士のトラブルもなければ毎日雷帝様を崇める人間たち。子供からお年寄りまであなた様のことをありがたやありがたやとはぁはぁしておりましゅ」 ヤトラの話を聞いてため息。そりゃそうかと思う。この返答も毎度のことだ。やはり面白いことはないか。ここまで抑止してしまうとつまらないのだな。ある程度の自由は与えているが更に何かを与えることも考えた方が良いのかもしれない。
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