男は世界とクロスする

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外へ出るとまた一層強い光が視界を覆った。光に目が慣れてくると現れた景色はごくごく普通の景色だった。家が立ち並び道路は綺麗に整えられ、植えられた植木は風によってその葉を揺らす。玄関先に広がるガーデニング。日常となんら変わりはない。あるとすれば人っ子ひとり見当たらないことだ。もたつきながら道に出ると空に見慣れないものがあった。人の上半身に下半身は鋼の円盤。手には弓を持っており常に全体を警戒している。顔は能面で鉄製の仮面のようにツルっとしていた。ゆらゆらと宙を漂っているとこちらに気づいたのだろう、ものすごい勢いでこちらに迫って来た。それは友好的には見えない。明らかに殺しに来ている。その敵対する何かは弓を引きこちらを攻撃して来た。矢はギリギリ頬をかすめることなく後ろの、今までいた家に当たると大爆発を起こす。その爆風で前に飛ばされ肘を擦りむいた。頭を抑え破片が頭に刺さらないように防ぐ。粉々になった家だった物を破壊した矢は以前その姿を保ったまま地面に突き刺さっていた。それと同時に不可解なモノに目を向ける。新たに弓を引いていた。こちらを標的にさらに何本も矢を放つ。その場からすかさず離れて回避する。 火事場の馬鹿力?先程まで動かしづらかった体が今は動かせている。後ろで爆発音がけたたましく鳴り響く。今のは危なかった。あいつ、どんどん正確になってきている。いや、初めから狙おうと思えば狙えたんじゃないのか?なのにわざと外したかのようなそんな軌道だ。何かに邪魔をされてズレたように感じる。なんの根拠も無いが。またも頬をかすめる軌道を描いて矢は爆発した。 「こっちだ!」 声が辺りに響く。見回すと道を挟んだ向こう側にある家の隣から路地へ行くような細い道があるがその入り口でサーコート姿の彼女は手招きをしていた。
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