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その問いかけに氷のように突き刺さる視線を彼女から感じた気がしたがすぐにそんなのは無かったように先程と同じ雰囲気で話し出す。「お前、なかなか太い神経してるな。カロ。お前のことはそう呼ぼう」
「え?」
「カロ。ギリシャ語で良いって意味さ。どうやらお前はラッキーらしい。さて、カロ、ここはお前の知っている世界であってそうでないとだけ言っておこう。先ほど出くわした機械の化け物は世界の終わりとともに神が使わした刺客だ。どうやら神は世界を滅ぼしただけでは飽き足らず我々人類を根絶やしにするつもりらしい。と、ここまでは大丈夫か?」世界の終わり?人類を根絶やす天の使い?言ってることが頓珍漢すぎてついていけない。
「そんなの、馬鹿げてるだろ!」
「じゃあ今見たあいつを否定できるのか?」「……」
「なら次の話しに行くぞ。その前に場所を移そうか」
オーティムはカロを置いてすたすたと家の奥へ歩いていく。場所を移すとはさっきのやつにここが見つかるということだろうか。この世界で1人、目を覚ましていきなり遭遇した非日常。このまま彼女についていってたら後戻りできないような気がした。
「どうした?来ないのか?」
迷う暇なんて無い。後戻りできないなんて何から後戻りできないんだ?今はもう進んでいくしか道はない。後ろの道は踏み出した瞬間から崩れているのだから。カロはオーティムについていくことにした。
「こっちに来い」
オーティムは床下の隠し扉を開き中へ入る。その先に広がる闇に足が怯むが臆せず進む。
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