0人が本棚に入れています
本棚に追加
○
「ふふん〜♪」
見た目が8歳程度のその女の子はあまり余った手の裾を地面につけないようにひらひらと機嫌がいいのか鼻歌交じりに主人を迎えにいっていた。
「あ!みちゅけましたよぉ〜!」
ピンクの髪にオレンジ色のフード付きのサーコート。コートの下側はその子に合わせて短いのに腕は長めなのがこの子のこだわりなのだろうか。同じくサーコートを纏ったその人物へ駆け寄るとピョンピョンと跳ねまわって喜びを伝える。
「ヤトラは探しまわりましたー!とってもとっても!とっても!ちゅかれましたね〜」
腕を組んで頬を膨らませ起こっているジェスチャーをする。ごめんと謝りながらヤトラの腕を引く。
「しょれにしてもよかったんでしゅか??彼、せっかく助けましたのに〜」
「いいのさアレで。死んだらそれまで、生きていたら儲けもの。結果的に私のためになるんだからな」
「本当におしょろしいひとでしゅね!ヤトラはそんなあなた様もだいしゅきなので、別に構いませんけど」
仄暗い洞窟を進むと出口があった。光をくぐると目の前に広がるのは20メートル以上はある城壁に囲まれた都市。人口100万人が余裕で入る土地。そこにはかつての生活があり、そしてそこを収める理が存在している。人々は帰還を祝福しこうべを垂れる。崩壊した世界にある10の生活圏の1つ絶対圏内オーティム。その副統括理事長ヤトラ。もちろん民衆が敬うべき存在なのはヤトラでは無い。オーティムの絶対にして絶対なる王。
10の王冠第2冠『絶対』を冠する少女。
少女はコートのフードを取って玉座へと座る。煌々と光る金髪。バチバチと常に弾ける電撃。民衆を見下ろす不敵な笑み。しかし王と呼ぶには似つかわしくない黄色いサーコート。脚には黒いブーツ。
最初のコメントを投稿しよう!