prologue ~風が運んできたのは。~

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prologue ~風が運んできたのは。~

 それぞれの思いを乗せて風は吹く。  次にあの、春の匂いを連れた風が通り過ぎると、直に寒い冬が訪れる。  そうして、季節は巡っていく。  あの日、風が運んできたもの  それは  少女の願いと、カナタの想いが繋いだ小さな奇跡だった。  カナタは、夜空を見上げ、430光年の彼方に一人旅立った少女に想いを馳せる。 「空っぽになってしまった心の埋め方は、まだわからないけど俺、精一杯生きるよ。だからいつか、君がいるその場所に行ったときは、また笑って俺を迎えてよ」  カナタは(ポラリス)に言う。  小さくて(はかな)い光を放ち、その星が揺れている。  それは、コロコロと楽しそうに笑う少女の笑顔の様にキラキラと瞬いていた。    
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