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プロローグ「ビールの酔い、宵の刻」
ざぶん、ざぶん、ぽちゃん……ざぶん、ざぶん、ぽちゃん……
金曜日の深夜、サービス業界大手の“城ヶ崎コーポレーション”に勤める28歳のOL・矢野美奈子は、池、というには大きいくらいの池の上の東屋に、1人でいた。
彼女の仰向けで寝る頭の上方、ベンチの端には、開けられた第3のビールの缶が5本転がっていた。
「あー、☆○%\×÷♪」
すっかり酔い切っている様子。
朦朧とする意識の中、彼女はコンビニのレジ袋に缶を詰め、立ち上がった。ふらりふらりと頼りない足取りで、真夜中の暗闇に包まれた池のほとりを進んでいく。変な奴に襲われてもおかしくはなさそうだが、何とか、いつもはものの数分で着く家への道のりを20分ほどで帰った。
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