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篠岡さんと一緒に中庭に向かう。
縁側から見える中庭では、まだ花火が行われていた。
はしゃぐ正人と奏太、その中に、人格が戻った拓美も加わっている。
拓美は珍しく楽しそうにしていて、その視線が俺に向いた。
「潤」
「あっ、篠岡さーん!篠岡さんも花火しましょう!」
正人が笑顔で手を振った。
篠岡さんが、うんと頷いて中庭に出る。3人が線香花火を始める中、縁側に座った俺の隣に、拓美が座った。
「楽しいな花火。久しぶりにやった」
「それはよかった」
「田舎はいいな。静かで、花火も思いっきり出来る。それに星空が綺麗だろ。俺、星空が見えるのが1番気に入ってるんだよな」
と言って、拓美は上を向いた。その表情は夢見るように穏やかだ。
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