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柔らかい口調で言った。
俺ははっとする。学ラン姿の彼は転校生だ。
転校して来たのは夏休み前だったようだけど、まだ家の事情やらなんやらが片付いてなく、学校にはきちんと通っていなかった。けど、夏休みが明けてようやく、教室にも顔を出して授業を受けれるようになったと、情報の早いクラスの女子が嬉しそうに騒いでいた。
神楽は無表情になって転校生を見つめている。俺はどうしたらいいか分からない。
フェンスから離れて近づいて来た転校生が、相変わらずニコニコした笑顔を浮かべて言った。
「はじめまして、僕の名前は公文レオです。これからどうぞ宜しくお願いしますーーー公文幸尋さん」
明るい笑顔が一転し、彼は冷たい笑みを浮かべる。
一難去ってまた一難。
俺はこの時、今後の高校生活に更なる嵐の予感を感じていた…。
end.
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