妹探し 下

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「当たり前だ。全員があの山に足を踏み入れていい訳ないだろ」 「うっ…」と、声を詰まらせた正人は目に見えて落ち込んだが、リーダーの腕を掴んだまま離さない篠岡さんと同じように、不安な顔を浮かべる。 「…けど、そんなにやばい山に行く3人は、大丈夫なんすか?」 正人は正人なりに、俺たちのことを心配してくれているらしい。 先に2人を助けに行くと言ったのは俺だけれど、本音は物凄く怖いし、あの山には行きたくない。俺は人一倍に視えてしまうし影響を受けやすいから尚更だ。 「今更、あれこれ考えるのはやめなよ」 余裕ある口調で神楽が言った。その顔には一切の恐れがない。 体には触れられていないけど、また心を読まれた気分になる。気分を害した俺は神楽を睨むが、神楽はわざとらしく肩を竦めた。 そしてその場の皆に向かって、少し低くした冷たい声で言った。 「決まったなら、さっさと行動に移そう。こうしている時間が、2人の生死を分けることになるんだよ」 確かにそうだ。 俺とリーダーはお互いを見つめ、頷き合った。
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