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―昼放課、2-E教室―
新太のライブウォッチが振動と共に連絡が来ていることを知らせた。
『新太くんか!久しぶりだね。』
連絡してきたのはこれまでに何回か共に戦っているプレイヤー・奏だった。
「どうしたの、奏?もしかしてお前も今朝の発表を聞いてレイドバトルに参加するのか?」
『あぁ、もちろんするさ。何でも今回復活するのはあの黒オブジェクトから出現するボスだからね!君も挑戦するのかい?』
「ああ!こっちはペアで行くんだ!遠近両方で強い二人が組むんだ…負けるわけないぜ!」
『確かに君はあのボスと互角に戦っていたみたいだけど、今回のボス戦までにボクも強くなったのさ!』
「じゃあ、放課後楽しみにしてるぜ!」
『君の剣技にも期待しているよ、新太くん!』
新太はライブウォッチの通話ボタンを押して通話を終了した。
しかし、通話を終えてふと二菜の方を見てみると、二菜は新太の方を見て顔を赤くしていた。
「どうしたんだ、二菜?具合でも悪い?」
「…新太って、人を誉めるの上手だね。」
「そっ、そうかなぁ…そう言ってもらえて良かったよ…」
女の子に誉められたということもあり、新太は顔を赤くして髪をポリポリ掻いていた。
「へっ、新太の奴…二菜が来てからというものの、何か変わった気がするなぁ…ああ寒い寒い。」
長年仲がいい蓮はかなり不機嫌そうにうどんをすすり、そして勢い余ってむせていた。
―放課後、臨海中央公園時計オブジェ―
「はぁ…二菜がここ知っててくれて助かったよ、マジでサンキューだぜ!」
「…新太のためじゃない。」
二菜はツンとした態度で受け答えた。
「おっ、新太くん…今日はガールフレンド連れかい?」
「んなわけあるかぁ!この子はオレのパートナーだよ!遠距離からの支援を任せてんの!」
それを聞いて二菜は少しだけ悲しくなったが、これから始まるレイドのためにもその気持ちをそっと隠した。
そして、いよいよレイドバトルの始まる時刻になり、いつものように黒いオブジェクトが割れて中からブロークが出現した。
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