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新太は目の前に現れた少女を見たことで完璧に腰を抜かして尻餅をついてしまった。
「…何もしてこないよな?何もしないでくれよな!」
新太は起き上がって一応コスチューム姿になり、剣の束に手をかけた。
その少女は新太を襲うような感じではなかった。むしろ彼に興味津々な様子だった。
『…お兄さん、プレイヤー?』
「あ、はい…そう…ですけど。」
『怖がらないで。私、名前がなくて困ってるの。』
「はぁ…そうですか…って、今なんて?」
新太は唐突に〈自分には名前がない〉ということを告げられ、驚きのあまり聞き返した。
『私名前がないの…』
「それホント?」『うん…』
マジか…生まれてこの方、こんな子初めてみたし、何よりどんな感じで接していいのか分からないよ!
「えっと…ひとまず夜だし、今夜は家に…って、キミ幽霊だから家ないのか。じゃ、オレの家来いよ、今誰もいないし。」
『…よく分からないけど、ありがとう!』
というわけでオレは彼女をとりあえず家に入れてあげた。前にも紹介があったと思うけどオレの家は〈一ノ瀬〉としての家ではなくあくまでも〈四野〉邸である。
―四野家―
「あのさ…失礼なのと聞くかもしれないけど、幽霊って何食べるの?」
『幽霊?』
あれ?もしかしてこの子幽霊とか分からない年なの?いやいやいやそれは…今目の前にいる子がまさにその状態なんだって!
「幽霊っていうのは、キミみたいに特別な条件下でだけ見ることができる不思議な存在…なんだ。」
とりあえず新太は夕食を食べながらそばで座っている少女にできるだけ噛み砕いた表現で説明した。
『私幽霊じゃないよ。』
新太はそれを聞いて飲んでいた麦茶を豪快に吹き散らした。そして息するのが難しいくらいにむせた。
「えぇっ、じゃあキミ何者?」
『私にも分からない。だけど、お兄さんが今つけてるそれじゃないと見えない存在…かな?』
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