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10 連撃ハイウェイ!
―男子寄宿舎・新太と蓮の部屋―
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」
「なんだ…」
「びぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!」
「おい…」
「お金がないよぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
「新太…」 「ん?」
「朝っぱらからそんなちゃっちいことで泣いてんじゃねぇぞゴラァ!!」
新太は昨日のレイドバトル後に所持金の九割をパフェ代につぎ込んだことを蓮に正直に言ったものの、支出のデカさのあまり大泣きしてしまった。
「なんでそんなことしたんだよ、お前は。」
この案件ばかりは流石の蓮もどうしてあげることもできなさそうな雰囲気だった。
―その後、2-E教室―
涙は止まったものの、新太は未だに所持金の少なさにショックを受けていた。
「えっと、一ノ瀬くん、何かあったのかな?」
「そっとしておいてやれ。アイツ今結構精神的に来てるものがあるらしい。」
「じゃあ一番長い付き合いのアンタでどうにかしなさいよ!」
「テメ今俺がなんて言ったか分かってんのかぁ!?俺でもどうにも…」
二菜は蓮の首元にモデルガンの銃口を突き付け、顔は三樹を睨み付けていた。
「うぉい、二菜かよ!なんだ…朝からそんな物騒なもんを俺に向けるな!」
「今すぐ黙って…二人ともうるさい!」
「「すいませんでした」」
二菜は今日もブレてないなぁ…はぁ、昨日の『ありがとう』の意味が未だに分かんない。
モデルガンをしまって、二菜は新太のそばに来た。その顔はどこか心配そうな感じだった。
「新太…昨日やっぱり嫌だった?」
「嫌というか、金銭的にきつかったから…」
「そっか…何だか悪いことしたかも、ごめん。」
「い、いや…その…別にたいしたことじゃないし、お金無いのに見栄張ったオレが悪いんだし…」
「…そっか、じゃあ今度は私がおごってあげるから、また一緒にカフェ行こう。」
「…いっ、いいよ、うん。」
新太は二菜からの一言に何を思ったのか一気に顔を赤くしてしまった。蓮はその横で悪そうな笑みを浮かべていた。
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