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俺と彼女は生徒会室で長机の端と端に座っている。対角線上なので、仕事をしながらこっそり眺められる。
「あっれれー?タッキー、手ぇ止まってるよー?」
「おわっ!」
ニヤニヤ顔の会長がこちらを見ていた。
本人に聴こえているんじゃないかと、会長に気づかれないように窺う。彼女は目の前の書類に一生懸命で気がついていないようだ、よかった。
「…(ぼそっ)ヘタレめ。」
「-ん?なにか言ったか?」
「なんでもなーい。…そういや朝の挨拶運動のローテ決まったから、発表しまーす!みんなちゅーもーく!」
「…相変わらず会長は急ね。」
華蓮が一つため息をつく。
同時に仕事に夢中だった彼女も顔を上げる。
会長に向ける視線の延長線上に彼女がいるのをいいことに、さり気なく視界に入れる。
「…えーと、火曜日と木曜日はタッキーとエンジェルの担当ね!」
その言葉が耳に入り、脳内で認識された瞬間。
ガタンッ
「タッキーどーしたのー?椅子倒れてるよー?」
会長の言葉で自分が椅子を倒しながら立ち上がったことに気がついた。
そしてもう一つ気がついたことがある。
-会長と華蓮がこちらを見てニヤニヤしているのだ。
そういえば、ローテを組む担当は会長と華蓮だった。
…仕組まれた。そう思った時には既にどうししようもなく、2人の意地悪な笑顔を一身に受けるしかなかった。
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