もう1人の片思い

6/13
45人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
中学最後の体育祭がやってきた。 生徒会の最大行事であると共に、これを最後に現生徒会も引退する。 晴れ晴れとした9月の空の下、全校生徒がずらっと並ぶ前での開会宣言。 副会長としての役割を一つ終え、開会式が無事に終わった。 続いて競技に移る。 生徒会は自分の参加種目以外はほとんど本部へ行き、種目進行のために走り回る。 当然俺もこき使われる。(主に会長に) 「タッキー!エンジェル呼んできて!なるはやで!」 予定していた開会式の校長のお話が想定していたよりも長引いたため、少し巻きで競技が進んでいる。 慌ただしく動く本部テントから抜け出し、2年生のテントへ向かう。 クラスの場所に白川さんと井上が談笑していた。お互い笑顔を浮かべていて、楽しそうにしている。 1年間生徒会にいて、初めて見る顔だった。 -ツキン いやいや、クラスメートだし会話くらいするだろ。これに嫉妬するなんて…。 誰も気がつかないくらいの自分への溜息をついて、頭をブンブン振る。集中しないと。 「白川さん!話してるのにごめん、会長が呼んでるから早めに本部まで来てくれる?」 できるだけ冷静な振りをするけど、心臓はバクバクだ。年上なのに、かっこ悪いな。 「はい!今から行きます、ありがとうございます!」 テントからダッシュで去っていく白川さん。 どんどん距離が遠くなるのが少し不安で、その後ろ姿を追いかけるように、2人で本部へ戻った。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!