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大成功に終わった体育祭から2週間後。
次の生徒会長と副会長の選挙もあり、白川さん達2年生は忙しそうだ。
うちの学校の選挙はかなり盛り上がる。
各クラスを回って演説したり、学校のいたる所にポスターも貼られている。
3年生達の関心も選挙に向けられていて、誰に投票するか、という声があちこちから聞こえる。その雑談の中から、ある声が耳に飛び込んできた。
「-なぁ、聞いたか?生徒会長に立候補してる奴と副会長に立候補してる女子は付き合ってるらしいぞ。」
「まじで?副会長の子かわいいから応援してたんだけどなー。」
その2人って、白川さんと井上じゃないか?
それぞれ副会長と会長に立候補してるし。
視界から色がなくなった、気がした。
緊張した身体は指一本も動かず、耳をふさぐこともできない。
「-どうやら、一緒に帰ってるとこを見たやつがいるらしい。」
「へー、確かにお似合いっちゃお似合いだよな、あの2人。」
2人で話していた時の笑顔を思い出す。
きっと、この気持ちを伝えても迷惑なだけだろう。
俺はそうして、この気持ちをなかったことにした。
そんな俺を白川さんや会長達がどんな目で見ていたか、その時は全くわからなかった。
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