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憂鬱な練習試合の日がやってきた。
試合中もできるだけ主に保護者達でいっぱいの応援スペースは見ないことにした。
昼休憩を挟んで2試合終えて、片付けを始める。ほぼ片付けたところで井上がやってきた。
「瀧先輩!今少しいいですか?彼女が先輩に会いたいって言ってて…。」
「…俺に?」
不思議そうな表情で、出来ることなら会いたくなかった気まずさを隠す。
「お前の知り合いなんだろ?だいたい片付けも終わってるし行ってきたら?」
と圭に言われては、断ることもできず。
渋々(というのがバレないように)応援席へ向かう。
そこで、俺は予想をはるかに上回る人物に出会った。
「こちらが、俺の彼女です。」
少しはにかみながら井上が紹介したのは、
「やっほー、タッキー!昨日ぶりだね!」
「……は?」
ー会長だった。
もう会長ではないのだが、中学の頃の癖が抜けず高校でも会長と呼んでいる。いや、そんなことはどうでもよくて!
「会長が井上の彼女!?え、いつから!?…てか白川さんは!?」
「付き合ったのは2週間くらい前ですけど…なんで白川が?」
律儀に答える井上とは対照的に会長はしたり顔で楽しそうだった。
「タッキーは井上とエンジェルが付き合ってると思ってたんだよね?」
「…あぁ。」
「え?俺と白川が付き合うとかありえないですよ、だって俺は中学の時から会長に片思いだったんで。それに白川も-「ストーップ!それ以上はタッキーに教えちゃダメだよ!」…すみません。」
「まじか…。」
目の前の掛け合いに呆然とする俺。
会長と井上が、ってのもあるけど、白川さんと井上の噂はデマだったことが衝撃的だった。
思わず力が抜けて、しゃがみ込みながら頭を抱えた。
「…あの時の俺、ぶん殴りたい…。」
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