もう1人の片思い

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「…それ、こっちのセリフなんだけど。」 「…え、」 腕組みしながら仁王立ちしている会長が呆れた顔になった。 「…まさか気づいてなかったとでも?いつになったら告白するのかと思ったら、変な勘違いしてるし。生徒会内で気がついてなかったのエンジェルくらいだからね!」 語調がだんだんと荒っぽくなったからか、思わずじりじりと後ずさりしてしまう。 「その辺にしときましょうよ、瀧先輩が怖がってますよ。」 救いの手を差し伸べてくれたのは、井上だった。その井上が「でも、」と言葉を続ける。 「それは瀧先輩にとって、もう終わってるんですか?」 夏特有の生ぬるい風が体にまとわりつく。 それはあの日から白川さんの事は考えないように、考えないようにしてきた、気持ちを抑え込む時の気持ち悪さに少し似ていた。 もう解放してもいいのだろうか。 「俺は…多分だけど、まだ好きだよ。白川さんのこと。」 グラウンドの土を見つめたまま、呟いた。 「もうどうしようもないけどな。」 できるだけカラッと笑ったつもりだったが、少し痛々しかっただろうか。 目の前の2人は無言だった。
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