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親
赤鬼さんは言っていた。
「もし、百歳になって思い出しても、ここでの事は秘密にしておくように。特に鬼は怖くないなんて絶対に言わない事。そうでないと」
--心ない人々は、罪を繰り返す生き物だーー
あのタイミングで思い出しちゃったのは、もしかしたら私達十人が十歳になったから、合計で百歳って事だったのか。
あるいはそう、私達が十人で固まって十個の石を積み上げて、その合計が百個だった事が影響しているのかもしれない。
とはいえ、それは全てが推測で、本当のところは今でも分からない。
その後私達は、子を持つ親となっても、時々みんなで集まっては、家族ぐるみで遊んでいる。今日は近くの川でバーベキュー。そこにいる子供達は、みんな笑顔だ。
「ああー、崩れちゃったー」
「あはは、僕の勝ちだよ」
幸せそうに河原で遊ぶ子供達の姿を見ながら、今の幸せをかみしめる。
今度赤鬼さんに会ったら、どうして十歳の誕生日に思い出しちゃったのか聞いてみたい気もする。
でも、きっともう会う事はないだろう。
私達も。
そして、私達の子供達も。
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