親の目には涙はなかった

四年三組の誕生会

　私のクラスには、私と同じ五月生まれの友達が九人いる。
　それだけじゃない、私達はなんと、誕生日まで一緒だった。
　三年になって今のクラスになった当初、担任の先生も驚いていた。

　四年生になって、今日は五月十日。
　私達、美樹本鏡華(みきもときょうか)と友達九人の十歳の誕生日。

　先生は毎月、その月の誕生日の生徒のためにお楽しみ会をしてくれる。

　そして今日も、三・四時間目をお楽しみ会のために使ってくれた。

　私達は教室の真ん中に椅子を並べて座り、他のお友達の出し物を見て楽しんでいた。

　手品を見て驚いたり、クイズを出されてみんなで騒いだりして、とっても楽しかった。

　そして最後に始まったのが、私達以外の全員での劇だった。

　演技するのは毎回昔話で、元々のお話は知ってはいるけれど、先生がお芝居を変なお話にしてくれるから、見る方もやる方も、みんな楽しみにしていた。

　今回のお芝居は「桃太郎」だった。