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「え……、あの……」
振り返ると、そこに立っていたのは、スーパーのレジ袋を持った男だった。
同い年くらいだろうか。
それでも幾分か大人びて見えた。
茶髪の髪。
銀色のピアスが耳に二つずつ刺さっている。
服もどこか着崩したような恰好をしていて、履いているサンダルも、いくつか穴が開いている。
だらしない恰好、という言葉が似合いそうな姿だった。
「あれ、おまえん家の車?」
「あ、はい……」
「へー。
何千万すんのかね。
すっげー売ったら儲かりそう」
「え、あの……」
なんか不躾な質問じゃない?
と思いつつも、黙っていると、男はすぐに興味をなくしたようで、そのまま角を曲がるとひよりも帰ろうとしているマンションに入っていく。
え、てかこのマンションに住んでるの?
ひよりも慌ててその男を追うも、男は特に反応も示さなかった。
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