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「で?
ひよこは何号室なわけ?」
「1512です」
「隣じゃねぇか。
俺1511」
「え、ウソ!」
「なんだよ、その嫌そうな顔は。
ひよこのくせに」
「い、いひゃい、いひゃい!」
ぐいぐい、と頬を引っ張られて、この人のパーソナルスペースどうなってんだと思いながらも、ひよりは自分の頬をつかむ腕を引きはがす。
あ、骨ばった手だな……。
一瞬そう思って、なんだか恥ずかしくなってきた。
そういえば、私、牧やお父様以外の男の人の腕触ったの初めて……。
「顔赤くなってけど、どした?
男に免疫ないとか?」
「……っ!」
見透かされている!
覗き込んでニヤニヤ笑ってくる尚の視線に耐えられなくて、ひよりはバッと顔をそむけた。
それでも尚は動じた様子もなく、「おーついたー」と部屋を指さしている。
あーー、私だけ振り回されてる。
なんだか、マンションの下から帰ってきただけなのに疲れた。
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