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「いやー、大変だったぜ。
ひよこショップで迷子になって泣いているひよこを助けてやって……」
「誰の話!!?」
またそんなウソをついて!
クラスメイトの大切な第一印象なのに!
ひよりはおもいっきり尚の肩を掴むと、『何の話をしてるのよ』と目で伝えるように必死の形相で尚を見つめた。
しかし、パチパチと二度瞬きをした後、尚の口角がニヤリと持ち上がる。
嫌な予感をひよりが感じ取った瞬間に、尚が口を開いた。
「ほーう。誰の話、だって?
それじゃあ、俺らどうやって会ったんだ?」
「え……」
「俺ら、『なんで』、『どうやって』、知り合いになったんだ??」
「……」
そうだ。
こうして話してしまっている以上、クラスの人はひよりと尚が知り合いだと思っている。
しかも、このひよこの話を否定すると、余計面倒なことになってしまう。
それにひよりと尚は知り合ったばかりでほとんどお互いのことを知らないため、深い関係であるような知り合いには言えない。
ということは、たまたま偶然ひよこショップで会ったとしか言えないわけで……。
「~~~~~っ!」
「あの時は大変だったなぁ?ひよこ?」
「……っそ、そうですね……」
勝ち誇った顔をする尚にひよりはグ、と強く拳を握ったのだった。
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