2nd-trap:事実は小説よりも奇なり

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*** 『災難でしたね……』 「ほんとよ! もう、お隣さんに引っ越してからずっと振り回されてるっ」 昼休みの校舎裏。 非常階段の踊り場でひよりは一目散に牧に電話をかけていた。 ひよりは人見知りの気があるせいか、初日の学校が苦手だ。 それは牧も理解しているので、4月頃のひよりに牧は甘い。 『そうですか…。 お隣さん、お名前は何と仰っているのですか?』 「龍崎尚だって」 『きいたこともないですね。 龍崎尚……うーん。 危険な人物とかではなさそうですが…一応、調べてみますか』 「いいよ。 そんな大層な人じゃないし」 『そうですか? でも聞いた話だと随分お嬢様と関わりがありそうなので』 「やめて牧。 知りたくもないから」 『分かりました。 では、仰る通りに』 ふふ、と牧が電話越しで笑っているのが聞こえる。 ひよりは一通り愚痴ったところで、ふぅとひとつため息をついた。
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