1st-trap:縁は異なもの味なもの

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*** 「ひより、話があるから来なさい」 呼び出されたのは、半年ほど前のことだった。 珍しく隆文(たかふみ)がわざわざひよりの部屋にやってきたこと自体、まず異質だった。 「どうしたの、お父様」 言われるがままに、隆文に連れられてその部屋に行くと、そこでは牧が正座して待っていた。 ほんの少しだけ困ったような表情をしてひよりを見ている。 そのことにひよりは嫌な気配を察知した。 「あの、お父様、話って……」 落ち着け、と自分に言い聞かせながら座布団の上に腰を下ろす。 隆文は厳格な表情を崩さないまま、ひよりの正面の座布団に胡坐をかくと、重い口を開いた。 「ひより、お前の結婚相手が決まった」
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