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「え……」
「相手は、関場商事の息子さんの関場圭吾という男だ。
25歳という若さだが、やり手だとこちらの界隈でも有名になっている男で……」
「ちょっと待ってください、お父様!」
「……」
お父様の言っている言葉が頭に入ってこない。
全然、理解できない。
信じられない思いで隆文を見るひよりとは対照的に、隆文はひよりから視線を外すことはなかった。
「なんだ」
「なんだって……」
父のなんでもないことのように淡々と告げる声に絶句する。
救いを求めるように牧を見ると、牧はひよりの心を気遣うような、憐れむような視線をひよりに向けたまま曖昧にほほ笑むだけだった。
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