【3】

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体育の授業は、バドミントンだった。 ふと春香は、照夜を見た。 律子とのことが気になり、集中出来なかった。 春香が大きくため息をつくと「どした?」と言いながら、照夜が駆け寄ってきた。 「あっ…いやその…だっだ大丈夫ですっ!はい…」と言いながら、ぎこちない笑顔をすると「あんま、ボケっとしてっと足元見失うぞ?見失うンじゃねぇぞ」と言い、去って行った。 夏美が「大丈夫ですか?」と言いながら、背中を優しく擦ってくれた。 春香は、それがたまらなく大好きだった。 夏美に背中を優しく擦ってもらうと、不思議と元気が出てきた。 「あっ…ありがとう。もう大丈夫だよ♪」と言い、春香は微笑むと「なら良かったですわ。」と言いながら、夏美も優しく微笑んだ。 チャイムが鳴り、後片付けをしていると「先生ぇ、足を捻ったみたいだから歩けなぁい♡ 」と相変わらず千晴がぶりっ子声を出して、足をバタバタさせていた。 美冬が「出ったぁ…今度は足かーぃ」と言いながらため息混じりにツッコミを入れると「またか?あれほど準備体操をしておけって言ったよな?」と言い、照夜が近づくと「ゴメンなさぁい。撮影で疲れちゃってぇ…それでその…」と言うと「撮影で疲れたとか言い訳すんな。己の自己管理がなってないだけ。邪魔だから、さっさと保健室へ行ってこい。俺はそういうバカ女が、一番でぇっ嫌いなんだよ」と言いながら、千晴をジロっと睨んだ。 春香が心配そうに千晴を見ると、千晴は目に涙を浮かべながら走って体育館を出た。 それを見ていた夏美が「あらあら、走れたみたいですねぇ…」と微笑みながらやんわり言うと、クラス全員大爆笑をしていた。
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