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ゴールデンウィークというのもあって、入館料が無料も相まっていつになく賑わっていた。 春香が「わぁー♪綺麗…」と言いながら周囲を見渡しながら、スマートフォンで撮影をしていた。 照夜がメガネの汚れを拭き取っていると「あの…昨日気付いたんですけど、先生何でコンタクトレンズにしないんですか?」と春香が聞くと「んー?ゴミが入ったりしてただでさえ痛いのに、あんなん入れるって考えたら、ゾッとするよ」と言いながら、メガネをかけた。 一見、黒髪だし黒縁のメガネで身長も178cmと春香は168cmで10cm差もあって、弱々しいイメージを持たれているがたまに無精髭になるのと口が悪いというギャップとメガネを外した顔はかなりのイケメンだということで、女子生徒から人気者で、女性教員や何人かの生徒や生徒の母親からは告白されてきたが本人は全く興味がなかった。 春香が「先生って凄くモテるから、絶対に彼女とかいますよね?」と笑顔で聞くと「いねぇよ…」と言い、苦笑をした。 しばらくして、照夜が「……女なんか、信用出来ないね…」とぽつり呟くとタバコを咥えて火を着けた。 春香はその言葉と照夜の表情に、胸がズキッと痛くなった。 すると鐘が鳴った。 春香がその鐘の音にビックリしていると「あっ‥あぁ♪あれだよ。友愛の鐘ってやつだよ。行くか?」と言い、親指で鐘のある場所を指差した。 春香が頷くと「じゃっ、行くか♪」と言い、鐘のある場所へと向かった。 友愛の鐘の前に到着すると、二人で合わせながら鐘を鳴らした。 春香は心の中で「先生の傷が癒えますように…」と願いながら、鐘を鳴らした。 照夜が「次の人が待ってるから、行くか」と言い、ツツジ公園をあとにした。
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