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帰りの途中、ファミリーレストランに立ち寄ってお昼ご飯を食べていた。
春香は"何か"を忘れているよーな…?と思いながら、B.L.Tサンドを食べているとスマートフォンの着信ランプが点滅していた。
ふと見ると『おはよー♪春香、今何処?』と無料通話アプリの通知が来ていた。
春香が「わぁあー!!やっちゃったぁ!」と言い、慌てて立ち上がった。
照夜が「どした?」と言いながら、ヒレカツ定食を食べていると「あっあの!急用が出来ちゃって、帰らなくちゃいけなくなっちゃいました…」と言いながら、落ち込んでいた。
照夜は昨日春香から聞いていた友達の話を思い出し、ドリンクバーのコーヒーを飲みながら「それって、本当に急用なんか?」と聞くと「…本当は、行きたくない…です」と言い、俯いた。
「じゃあ、断れよ。本当の友達だったら、断っても怒らねぇと思うよ」と言いながら、春香を見つめた。
春香は「…嫌われたらどうしよう…」と呟くと、さらに通知音が鳴った。
そこには『おーい!もう駅で待ってるんだけど?』と書いてあった。
春香が「先生…どうしよう…」と言うと「大丈夫。お前を理解してくれる友達は、コイツだけじゃない。大人になれば、たくさんの出会いや別れもある。もしその友達のことで気を使っているんだったら、本当の友達じゃねぇよ。自分に正直になりな」と言い、コーヒーを一気に飲んだ。
春香は大きく深呼吸をして、千晴に電話をした。
「もっもしもし?千晴ちゃん?」と春香が言うと「もしもし?今、何処にいんの?」とあからさまに不機嫌な声で千晴が出た。
春香はその声にビクッと反応をし、顔色がドンドン真っ青になってきて喋れなくなってしまった。
すると、照夜がそっと隣に座り込み包み込むように肩を抱き寄せた。
春香はドキッとしていると「大丈夫。」と耳元で、照夜は囁いた。
春香は目を閉じながら「あっあのね!私、そこには行かないから!」と言うと「はぁ?!どういう意味よ!!」と千晴がブチ切れた。
さらに「私、もう千晴ちゃんとこれ以上お友達にはなれない。いつも自分のことばかりで、私の話を聞こうとしなかったり、ドタキャンや遅刻をされてきた。もう千晴ちゃんとは、コレっきりにしたいの!」と言うと、春香は寒くもないのに震えていた。
その肩をそっと照夜は手を添えて、自分の方に寄せた。
しばらく沈黙が続いたあと「バッカじゃないの?いい気にならないでよ。勘違いブスが」と言い、通話が切れた。
春香は安心感から涙を流していると「よく言えたな。入学した当初から、あの女どうかしてたぞ?なんつーか、胸糞が悪くなるっつーか。お前とは、ハッキリ言って釣り合ってなかったわ」と言い、優しく抱き寄せながら頭を優しく撫でた。
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