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春香は指定された場所で待っていると、照夜の車がやって来てパッシングをした。
助手席を開け、春香が座ると「大丈夫か?」と言いながら、コーヒー牛乳のパックを渡した。
春香は「先生がビンタしてくれたおかげで、戻った気がします…」と照れ笑いをしながら俯いた。
照夜が「悪かったな。もう痛くねぇか?」と言い、車を走らせた。
春香はコーヒー牛乳を飲みながら「大丈夫です…先生が来てくれなかったら、きっとパニックの発作を起こしてさらに皆に迷惑かけちゃってた。先生、ありがとうございました」と言うと「誰も迷惑だなんて、思ってねぇよ。特に俺はね」と言い、赤信号で停車したついでにメガネについた水滴を拭いたりしていた。
照夜が「ちょっと俺にもちょうだい」と言い、春香の飲んでいたコーヒー牛乳パックを奪い取ると、そのまま飲んだ。
春香がビックリしながら紙パックを見つめていると、春香のスマートフォンが鳴った。
「もしもし?」と言い、春香が電話に出ると「あっ!新見さん?明日バイトだったんだけれど、本村くんが今日と変わりたいって急遽言ってきたけど、入れそうかな?無理だったらいいよ」とアルバイト先の店長からだった。
春香は手帳を見ながら「大丈夫です」と言うと「良かったぁ!新見さんは、本当頼りになるよっ!その代わり、明後日と明々後日休みにしておくね」と言い、電話が切れた。
照夜が「本当は飯食ってから送ろうかと思ってたけれど、お人好し過ぎるお前を家まで送りますか」と言い、春香の家まで送り届けた。
春香は「大丈夫です。部活とバイトをしている間は、家のことを忘れられますから」と言い、ニコッと笑った。
照夜はその顔にドキッとしながら「じゃあ、何かあったらスグに俺のケータイに連絡しろ。」と言いながら、春香の手帳のメモの所に電話番号を書いた。
春香もドキッとしながら「ありがとうございます…じゃあ私の番号も教えますね」と言い、電話番号とメールアドレスを書いて照夜に渡した。
照夜はそのメモをお財布にしまうと、春香の家へと送り届けた。
春香は母親に会わせたくなかったから、近場にあるバス停まで案内をし、お礼を言いなから辞儀をして帰って行った。
家に着くと、母親が「お帰り〜♡」と言いながら、ウィスキーをストレートで飲んでいた。
最近母親のお酒の量が増えていたことに、春香は気になっていたが何となく怖くてそれを言えなかった。
春香が「お母さん、ご飯作ってくからちゃんと食べてね?」と言いながら、お米を研いでいた。
母親が「いつもありがとうねぇ?はるちゃんは、ママの自慢の娘よ♡」と言い、春香を抱きしめた。
以前、父親に似ていると言われて殴ってきたことを思い出した。
春香は言いたいことが山ほどあったが、グッと堪えて我慢した。
ふと母親のつけていた香水のニオイと、律子がつけていた香水のニオイが似ていて、春香は胸が痛くなった。
「あとはご飯が炊けるだけだからね。ちゃんと食べなきゃダメだよ?じゃあ行ってきます」と言い、自分の部屋に入ってバイト専用のバッグを持っていくと家を出た。
土砂降りだった雨はすっかり小雨となっていて、春香は良かったと安心をしながらバイト先へと向かった。
バイト先に到着すると「おはよーいやぁ、悪いね?本村くんちの通勤の道の土砂が崩れちゃったみたいでさ、大変みたい」と言いながら、店長が困った顔をしていた。
春香はロッカー室へと向かい、ホールへと向かった。
楽しい時間はあっという間に過ぎて、帰る時間となった。
春香は、部活と夏合宿がある日をメモしていた紙を見ながらタブレットで休みの希望日を打ち込み、帰っていった。
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