【3】

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家に帰るとすでに真っ暗で、春香も洋服とかをしまうと眠りについた。 早朝緊急避難を知らせるメールが鳴り、春香は目が覚めた。 春香は目を擦りながら起きて玄関を見ると、まだ母親は帰ってきていなかった。 心配になり、母親のケータイに電話をするも出なくて春香は一気に不安になった。 何度も電話をすると、ようやく母親は電話を出た。 「もしもし?お母さん?今、何処??」と聞くと「おはよ…と‥さんの家に泊まらせてもらっているから、大丈夫よ…」と言い、大きなあくびをしていた。 電波状況も悪いのか声が途切れ途切れで会話をしていると、家の電話が鳴った。 とりあえず気をつけて帰ってきてねと言い、電話を切って家の電話を取ると同じクラスメイトからで台風が接近しているから、今日は学校が休校となったことを知らせる内容の連絡網だった。 電話を切った瞬間喜んだが、照夜に会えないのが寂しく感じて胸の奥がチクチク痛くなった。 春香は次のクラスメイトに電話をして、電話を切るとテレビを付けた。 台風情報がやっていて、ハラハラしながら見ていると非通知の電話が掛かってきた。 春香は恐る恐る電話に出ると「おはよう♡今日は電車も停まっちゃってるし、君に会えないのは残念だなぁ。イイ子にしてるんだよ?」と言い、またしても一方的に電話が切れた。 ふと照夜の書いてくれたメモ用紙を握りしめながら、照夜に会いたいと思っているとSMSの着信音が鳴った。 母親以外誰も送らないから、誰だろうと思いながら見ると『おひやう』と照夜からメールが来ていた。 春香はパニックになりながら『おはようございます。送る相手、間違えてません(笑)?』と返信をして、冷蔵庫から麦茶を取り出すとコップに入れて飲んだ。 するとスグに電話が掛かってきた。 照夜だけは着信音を変えていたから、その電話が照夜だとわかったから電話に出た。 「もっもしもし?」と言いながら、電話に出ると「おはよーさん。心配だったからメールしただけだよ」と寝起きの照夜の声がした。 春香はドキッとしながら「大丈夫ですよ。先生は?」と聞くと「んー…ゴリに起こされて、休みになったからもう一度寝ようかと思ってた。」と言い、背伸びをしているのか声が少し遠くなった。 春香は、照夜に会いたくなり「先生…」と言うと「おー悪い悪い。どした?また長泉が、何か言ってきたか?」と言ってきた。 沈黙をしていると「どした?何かあった?」と真剣な声のトーンに変わった。 深呼吸を5回し「先生、あのね…先生に会いたい…」とダメ元で言うと、照夜は沈黙をした。 春香はダメだよなぁと思っていると「……わかった。迎えに行くから、待ってろ。」と返事が返ってきた。 ふとカレンダーを見ると、今日が金曜日で学校も急遽休みになって日曜日まで休みだと気付いて「先生の家にまた泊まりたい…」とダメ元で言うと「わかった。ちゃんと着替えとか用意して、待ってろ。また近くなったら、電話すっから」と言い、電話が切れた。 春香は嬉しくて、テンションがだんだんと上がってきた。 シャワーを浴びて髪の毛を乾かして、お気に入りの洋服とお泊り道具と充電器をハンドメイドのアプリで買ったリュックサックに詰め込んで、照夜の連絡を待っていた。 しばらくして、電話が来た。 「もしもし?」と言うと「もしもし、私メリーさん。今、あなたの近くにある公園に来ているの」と甲高い声の照夜が言うと、春香が「古いし、もう本当にヤメて?」と少し怒った口調になると、笑いを堪えきれなかったのか笑いながら「悪い悪い!もう着いたから」と言い電話を切って、戸締まりとガス栓を確認すると春香は家を出ると、照夜の車を見つけて乗り込んだ。
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