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帰りの車内で、照夜はタバコを咥えながら火を着けようとすると、春香が軽く咳払いをして「あの…乗ってるんですけど…?」と言いながら、春香は窓を開けると「あっそうだった。悪い悪い。タバコ、嫌い?」と照夜が聞くと「父が吸っていたので、大丈夫です…」と言い、春香が俯くと「そっか。どこもかしこ禁煙禁煙ってうるせぇよなぁ…」と言い自分の座席の窓を開け、タバコに火を着けて吸い始めた。 ふと見ると、可愛いキーホルダーがバックミラーに付いていた。 春香は、そのキャラクターが大好きだった。 春香が「あっ…これ…」と言い、手を差し伸べると「んっ?いる?」と言いながら、外すと春香に渡した。 春香が「あっあの…」と言うと「ゲーセンで取れたから、やんよ」と言い、ニカッと笑った。 春香は軽く会釈をし、カバンに着けた。 終始無言だったが、春香の家に到着すると「今日は悪かったな。お前なら、克服出来るよ。じゃっ、またな?」と言い、帰って行った。 春香はお礼を言い忘れてしまったことに気付き、キーホルダーを握りしめて、家のアパートに入って行った。 家に帰ると、母親の部屋から喘ぎ声が聞こえた。 わざと足音を立てて、リビングへ行って夕食を部屋に運ぶと勢いよくドアを閉めた。 すると「ちょっとぉ、静かに帰って来られないのぉ?」と言いながら、シュミーズ姿の母親が入ってきた。 春香は無視をして夕食を食べていると「ったく!いい加減にしてよねっ!!」と言い、勢いよくドアを閉めた。 夕食の食器を片付けてお風呂に入っていると、お風呂場のドアを激しく叩く音がした。 またしても春香が無視をしていると「はるちゃ〜ん♡俺と一緒にお風呂に入ろうよぉ〜♡」と言う、母親の彼氏の藤村武士(ふじむらたけし)がドア越しに覗いてきた。 春香は胸が苦しくなり、声を殺して泣いていた。 「お父さん…お父さんに会いたい…」と言いながら、泣いていた。 春香の父親は、春香が6歳の頃に離婚をし遠方に住んでいた。 母親が「あんな奴になんか、二度と会わせない!」と言っていたため、会わせてもらうことが出来なかった。 母親はスナックで働いていて、そのときにお客として来ていた藤村と出会った。 藤村は有名なジュエリーデザイナーの社長で、とても紳士的で温和な人柄だがお酒が入ると豹変し、春香をセクハラをしてきた。 春香も学費とかを出してもらっていたため、我慢をしていた。 春香はシフトが自由ということで、ファミリーレストランのウェイトレスでアルバイトをしていて、スマートフォンを購入していた。 スマホの番号は、本当に信頼出来る人にしか教えていなかった。 藤村は帰って行き、母親は仕事のスナックへ行ったのかシーンと静まり返っていた。 それでも警戒をして、急ぎ足で部屋に入ると髪の毛を乾かした。 ふとカバンに付いたキーホルダーを見ると、照夜の顔が浮かび上がった。 春香は明日の準備をして、眠りについた。
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