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教室に入ると、笑顔で千晴に挨拶をした。
「あっ♪春香、おはよー♪今日は一時間目から、塩田先生だよぉ♪」と嬉しそうに言うと、手鏡を見ながらグロスを塗っていた。
周囲を見渡すと、同じようなことをしている生徒が何人かいた。
チャイムが鳴ると照夜が入ってきて、朝礼が始まった。
昨日のことをボンヤリと考えていると「おい、何ボサっとしてンだ?」と言い、丸めたプリントで春香の頭を軽く叩いた。
春香はムッとしながら睨んでいると目が合い、いーだっ!と言うと、照夜は春香をチラッと見たがシカトしプリントを配り始めた。
プリントを見ると、A棟側の非常灯の設置工事のお知らせだった。
そこのA棟で一年生のときに過ごしていて、懐かしいなぁと思いながらプリントを見つめていると、チャイムが鳴った。
「体育の準備をしてくれる奴がいたら、ちょっと早めに倉庫に来てくれ」と照夜が言うと、クラスの女子たちが一斉に返事をし、我こそはと言わんばかりに体操服を持って、更衣室へと向かった。
春香が呆気に取られていると、斜め前に座っていた旭夏美が「皆さん、凄いですねぇ…」とおっとりとした口調で微笑んでいた。
夏美は今どきの女子高生には珍しく、髪の毛もお姫様カットにして黒髪で腰まであって、陶器みたいに透き通るような色白でくっきり二重のまつ毛も長くてまるで日本人形の市松人形みたいな風貌だった。
成績も常に一位に入っていて、制服も着崩したりミニスカートには一切せず、普段は黒のタイツか指定されたハイソックスを穿いていて、何となく春香は気になっていた。
「そうだね。そのパワーを、他の先生たちにも向けてもらいたいよね…」と笑いながら言うと「あら?行かれないのですか?」と言い、夏美は優しく微笑んだ。
春香は「行っても行かなくても、更衣室が混み合っているから一緒だよ」と苦笑しながら言うと「ウフフ。私もそう思いますわ…」と言いながら、またしても微笑んだ。
春香が「あっ…私新見春香って言うんだけど、良かったら友達にならない?」と言うと「はい。喜んで♪私の名前は、旭夏美と申し上げます。よろしくどうぞ」と言い、深々とお辞儀をした。
更衣室へと向かっているときに、春香と夏美は談笑をしていた。
「あっ…ゴメン。私の話ばっかだったね…」と春香が謝ると「いえいえ、お気になさらないで?新見さんのお話し、とても楽しいですよ」と言い、微笑んだ。
千晴は自分の話ばかりで、たまに春香が話してもスマートフォンを操作したりしていて話を聞いてくれているのかがわからなかったが、夏美は頷いたり微笑みながら話を聞いてくれていた。
運動場に到着し、軽くウォーミングアップでグラウンドを走って、夏美に駆け寄った。
夏美が「凄いですねぇ。羨ましいですわ♪」と言いながら、小さく拍手をしてくれた。
千晴はそんなことを言ってくれなかったから、春香は嬉しくて胸が苦しくなった。
照夜が授業の説明をし、立ち上がると「あっ…♡目眩がぁ…」と言い、千晴が照夜に倒れ込んだ。
ブラジャーをしていないのか、乳首のポッチが浮き出ていた。
照夜が「誰か、コイツを保健室へと連れて行ってやってくれないか?」と言うと「先生ぇ、胸が苦しいのぉ♡」と言い、千晴は照夜の手を掴むと自分の胸を押し付けた。
照夜が指を動かすたびに「あんっ♡」とか、わざとエロい声を出したりピクッと反応をして「先生が運んでくれなきゃ、ちぃ死んじゃうかも?」と言いながら、抱きついた。
ますます周りの女子たちが苛立って殺気立っているのが、春香は感じ取っていて「千晴ちゃん、いい加減にし…」と言いかけると、夏美が春香の前へ行き、春香を見て微笑むと「じゃあ、私と一緒に保健室へ行きましょうか?」と言い、千晴に歩み寄って行った。
すると「あっ…あぁ!何だろう!元気になったみたい♪」と言い起き上がると、一瞬夏美を睨んでその場を離れた。
春香が呆然としていると、何事もなかったかのように授業が再開した。
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