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「ねぇ、ワタシのどこが好きなの」 ナナミの質問に、俺はいつもこう返す。 「全部」 「ほらすぐそうやってハルキはめんどくさがる」 頬を膨らます彼女、それすらも可愛い。だからこう答えるしかないというのに。 こうして歩いているだけで、幸せな日常。 甘くないことは知っていても、そうそう手放したくはない。オレだってそんなバカではない。 「って何考えてんの」 横に歩いていたはずの彼女は、いつの間にか俺の前に立ちふさがっていた。 そのまま強い眼光が瞳に突き刺さる。 ただひたすらに、怖い。 オレはなぜか、駆け出してしまっていた。
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