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この世界がおかしいことに気付いたのは、近所のスーパーに買い物に行ったときだった。
「はっ!? 五千円が使えない!? 何で!」
それは家の冷蔵庫を見て「さすがにそろそろ買い出しに行かないとまずいな」と思って、歩いて数分という距離にある比較的大きめなスーパーに行き、食材をカゴに入れていざレジで会計を、ってときに俺が出した五千円を若い女性店員がきょとんとした顔で見ていたことが始まりだった。
「何でと言われましても、そのような紙幣は存じ上げませんので」
返された言葉に、今度は俺がきょとんとした。
この女性店員が俺の前に並んでいた数人の客に対して接客するところを見ていたが、接客態度もいいし、言葉遣いも丁寧で、普通に好感の持てる店員だった。だからそんな人が五千円を知らないなんて、そんなことあるわけない。
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