空の巣

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 翌日、定刻通り責任者会議は始まった。 「それでは会議を始めます。早速ですが議事に入ります。まず初めに施設長、お願いします」  主任が施設長を指名した。 「皆さん、毎日ご苦労様です。夏も本格的になって来ました。利用者さんは勿論ですが職員の皆さんも脱水には気を付けて下さい」  花園がうんうんと頷きながら聞いていた。 「夏祭りは利用者さんもとても楽しみにしています。無理の無い計画をしっかり立てて貰って安全に楽しく過ごせるようにしましょう」  主任がうんうんと頷きながら聞いていた。 「それから今月講師の先生をお呼びして講演会を開く予定だったのですが、先生のご都合により来られなくなってしまいました。今他の講師を探しています。決まりましたら報告します」 「もし見つからなかったら夏祭りの準備に当てて頂ければ助かるんですが」  主任が意見を述べた。 「そうしてあげたいのは山々ですが、研修は法令で定められているのでやらないわけには行かないんです。申し訳ありません」 「なら仕方ありませんね。分かりました。では次に……」  自分で司会進行していながら主任はどんどんと意見を出しまくる。花園も言いたい事を言いまくる。書記のきわ美は記録に忙しく意見を述べる暇も無かった。 「では時間も来ましたので会議を終了します。お疲れ様でした」  自分の言いたい事を言い終わったった主任は会議を閉じた。 「あ〜、終わった終わった。昼食介助行かなきゃ〜」  主任はさっさと次の仕事へ向かった。花園は何故か残っていてきわ美に近付いて来た。 「ケアマネ、よろしくね」 「え、何がですか?」 「見てないの? 夏祭りの分担表。ケアマネと私で綿あめ係だからね!」 「綿あめ係って……何やるの?」 「綿あめ作るの!」  それだけ言うと花園は去って行った。  花園と一緒に係だと思うと緊張感が湧いてきた。最後の夏祭りが花園と一緒か、ときわ美はため息を付いた。
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