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「ケアマネ、いますか?」
介護係の主任、秋野だった。
「実は日勤の子が朝から具合悪そうだったんだけど、さっき熱測ったら38℃あって帰って貰ったのよ」
「ありゃ、それはいけないですね」
「でね、その子入浴介助の予定だったんだけど……」
「いいですよ。代わりに入りますよ」
「でも着替えとか無いでしょ。だから入浴介助は他の子に代わってもらったから着脱お願いします」
「分かりました。行きますね」
「ごめんなさいね、忙しいのに」
ケアマネと言ってもたまには現場の仕事もする。逆に現場の仕事をすると利用者さんの様子も分かりケアプランに活かせる。
実際きわ美は介護師歴20年のベテランだった。その事を知っている主任はちょくちょく仕事を頼みに来る。
きわ美がこの施設に来て2年になる。この施設ではケアマネの仕事しかしていないが、前の施設では介護福祉士としてバリバリ働いていた。辞める頃には満身創痍、身体中に湿布を貼り巡らせ、痛み止を飲みながら仕事をしていた。でも、そこまでしてでも仕事を続けたかった。
介護の仕事が好きだったのだ。
しかし、そんなきわ美も訳あって仕事を辞めた。体のせいでは無かった。
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