ケアマネのお仕事

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 きわ美がベテラン介護師だった時、若い介護師にこう言っていた。 「慣れないうちは早く出来なくて当然。早く出来無いからって手は抜かないでしっかり基本通りにやってね。体が覚えて来れば嫌でも早く出来るようになるから」  何事も基本は大事だ。基本無くして応用なんて無い。その基本を教えても貰えずただ早さを求められる若い介護師は可哀想だときわ美は思う。    介護師の在り方、施設の在り方が変な方向へ進まなければと心配になる。自分が年を取って老人ホームへ入ったらどんな介護をされるのだろう。凄く不安になる。  「自分が入りたいホームにしよう」と目標を掲げているが、この施設に入りたいと本気で思っている職員は何人いるのだろうか。いや、この先もこの施設で働き続けたいと心から思っている職員は何人いるのだろうか。  色々考えていたせいか、きわ美は食欲が出ず昼食を半分残した。 「ケアマネ少食ね。そんなんで午後働けるの?」  しっかりおかわりまで平らげた主任が言った。そんなに食べて動けるのと逆に聞きたいきわ美だった。
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