きわ美の休日

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きわ美の休日

 アパートのカーテンは遮光だが、昨日ちゃんと閉めなかったせいか眩しい陽射しが差し込んできていた。  きわ美は今日休みだった。たぶんもうお昼近くだろう。だがきわ美はまだベットの中にいた。  やらなくてはいけない事は山程ある。だがやりたい事は何一つ無い。敢えて言うならこのまま寝ていたい。そうは言っても洗濯くらいはやらなければならない。 「イタタタタ……」  ベットから起きようとしたら腰が痛んだ。年を取るにつれ、ゆっくりも寝ていられなくなった。たぶん若い頃より寝返りを打たなくなったのだろう。朝起きると夜寝たままの姿勢でいる事もある。そのためか朝は身体中痛い。寝ると尚更肩や首が凝ってしまう。 「そんな貴方に、高反発マットレス……」  欲しい、欲しいが高すぎる……。テレビの通販番組を見るたびにそう思う。  なんとか起き上がると今度は目眩がした。きっと更年期のせいだ。たまに症状が酷い時は買ってきてある漢方薬を飲む。飲むとなんとなく良いような気がする。  若い頃は自分がこんなになるなんて思ってもみなかった。昔は体が柔らかい事が自慢だったが、今じゃ関節という関節が動かすと音を立てて「これ以上ムリ!」と悲鳴をあげている。視力もずっと良かったのに、最近は小さい文字なんて読めない。辞書を引いても点々にしか見えない。ボタンが取れても針に糸を通せないので、ほったらかしだ。
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