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「はる、今日はどうだった? 虐められたりしなかったか?」
今日は、何となく心配でそわそわしながら仕事を片付け、急いではるを迎えに行った。が、それらは杞憂で、拍子抜けするほど元気に過ごしていた。
「あのね。あのね。みんながね、はるのおうちは『イケメンのパパ』がふたりもいていいね! っていってたよ~! みんなのママがそういってるんだってー!」
大好物の焼きたてホットケーキを目の前にしても、手を付けずに嬉々として喋り続けている。
「はるは、お母さんがいなくて寂しいか?」
キョトンとした表情で俺を見たはるは、少し考えた後に明るい声音で「おにいちゃんがママのかわりでしょ? はるは、おにいちゃんがいるからだいじょうぶだよー?」と、事も無げに言う。
「さっさと、おやつを食っちゃえよ!」
鼻の奥がツンとしてきて、目の前が霞んできた。こんな顔をはるに見せるわけにはいかないので、飲み物を取りに行くふりをして、俺はぞんざいな言葉を残し、しばし席を離れた――
完
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