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Ⅳ かえない。
私は、猫をかえない。
猫アレルギーが酷くなりそうだから。
君がくしゃみをしながら触っていた近所の猫を可愛く思えなくなるから。
だから私は、猫を飼えない。
お金がキツくて可哀想な思いをさせてしまうから。
きっと君に、猫は買うんじゃない、飼うんだ!って語られるから。
だから私は、猫を買えない。
猫がいたら、君との思い出がだんだん薄れていきそうだから。
猫がいたら、一瞬でも君といた思い出よりも楽しいと思う時が来そうだから。
猫がいたら、その子を見る度にくしゃみをする愛おしい君を思い出すんだろうな。
でも私は、君だけでもなく、猫だけでもなく、いろんな物から幸せをもらってる。
君は君で、それ以外何でもない。
何を身代わりにしても、君は君でしかないから。
だから、、、
でもきっと、そんな理由じゃなくて。
猫をかってもかわなくても、私の周りには君が溢れていて、色褪せないよう必死になって。
他に大切な存在が出来ることで、その人達との大切な思い出を作ることで、
君が薄れていく。
鮮明に、生き生きと、君を思い出せなくのはしょうがないことだけど、
けど、それが許せないだろう。
時間が、周りの人が、私が、自分の記憶が、許せなくなる。
だから、だからきっと、私は猫をかえない。
いや、私は猫をかいたくないんだ。
大事な存在は、ずっと、君だけでいい。
───今日未明、品川区のとある公園で女性の遺体が発見されました。
警察によると、遺体に目立った外傷はなく、
薬を多量摂取していた事から、事件性はないとしています。
彼女が彼と出会えることを願って。 fin.
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