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青と緑のあの星へ
壁に固定された寝袋に潜り込んだ小さな影、章に、鮮やかな緑色が眩しいチューブを差し出す。柔らかな唇がそのチューブを食むと、チューブはすぐに透明になった。
「抹茶アイス食べたい」
小さな手が手放した、ふわふわと漂う空のチューブを、行方不明になる前にしっかりと掴む。寝袋のファスナーに四苦八苦する小さな手のひび割れを撫でてから、透は寝袋で章の小さな身体をすっぽりと包んだ。
「何かあったら、ちゃんと起こして」
「ああ」
寝袋の内から響いた言葉に、微笑んで寝袋を撫でる。
今日の故障は最悪だった。規則正しい機械音の中で首を横に振る。今、透と章が無事でいるのは、章の奮闘のおかげ。
あの青い星に無事帰り着くことができたら、ほうじ茶のプリンでも煎茶のパンケーキでも、何でも作ってやる。寝息が聞こえる寝袋を軽く叩くと、小さなうごめきが、透の掌に響いた。
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