氏神様の申すには

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今日は4月10日。 待ちに待ったみーちゃんの入園式。 なのにお外はザーザーの雨。 リビングの窓から見えるみーちゃんのブランコが少し寂しそうに揺れています。 パパはこの日のために買った一眼レフのカメラを右に左に動かしてチェック。 奮発して買ったカメラをパパは毎日愛おしそうに眺めています。 ママはこの日のために新調した真っ白のワンピースを着て鏡の前でポージング。 奮発して買ったワンピースをママは毎日体に当てて幸せそうに揺れています。 今日は本番。 二人ともにっこりと笑って楽しそう。 柱時計がポーン、ポーンと歌いました。 九時です。そろそろ園に向かう時間。 雨の音は少し小さくなったようです。 「みーちゃん、幼稚園のスモック着ようね。」 ママが鏡の前からみーちゃんに呼びかけました。 あれ? みーちゃんの返事がありません。 振り返ると、ソファに座っているのはパパだけ。 「パパ、みーちゃんは?」 「え?」 パパはカメラから顔を上げてママを見ました。 「部屋に行ったんじゃないかな?」 どうやらパパはみーちゃんがいなくなったことに気づいてなかったようです。 ママは2階のみーちゃんのお部屋に行きました。 「みーちゃん、行くよ。」 でもお部屋は空っぽ。みーちゃんの大好きなクローゼットの中にもいません。 それじゃどこに? ママは一つ一つ探して回ります。 パパとママの部屋? 押し入れ?納戸? 階段を降りて、また一つ一つ。 トイレかな?洗面所?それとも………。 ママは段々心臓がどきどきしてきました。 「みーちゃん?どこ?」 まさか外に? 慌てて玄関に走っていくと。 みーちゃんの靴がありません。 傘立てからはみーちゃんのお気に入りの赤い傘もなくなっています。 「パパ!みーちゃんが!」 ママの泣きそうな声にパパが慌ててやってきました。 大変です。 みーちゃんがいなくなってしまいました。 パパとママはみーちゃんを探しに外に出ました。
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