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転生したのは
ぎゃああああ
やめてくれ!!やめてくれ!!
悲痛に歪む人間の哀れな姿をみてふっと笑みが溢れる
もっと泣き叫べ、そしてもっと俺を楽しませろ!!
ハハハハハ!!
俺の屋敷には何人もの生け贄やら奴隷といった人間がいた。
人間の王やら俺よりランクの下の貴族や有力平魔は俺に人間を献上する。最近俺が人間をいたぶるのに面白さを見いだし、はまっているからだ。まあ、そんなこんなで人間界にもかなり影響を及ぼしていた。
悪魔には位があって魔王、上位、中位、下位、使い魔、平魔というものがある。地位が高いほど力が強い。上位~下位は貴族で全体の1%くらいしかいない。
俺の名前はウァレプト。上位悪魔だ。悪魔の世界は力が絶対だった。さらに俺は我ながら容姿はかなり優れていると思う。
大きく立派な二本の角、大きな漆黒の翼、りりしい顔立ち…
だが、こんな風に自惚れていたからこんなことになってしまったんだと思う…
ある日、人間界のある若者が母と妹を魔族に連れ去られたとかいう理由でずっと恨みを持ち続け、その魔族に復讐しようとしたのだ。まあ、その母は俺の屋敷にいるけどな。彼はその意志の強さと根性で試練をいくつもこなし、また彼のその性格を気に入った物好きの賢者が彼を猛特訓し彼は魔王すらしのぐ力を手に入れてしまったのだ。
この時魔族達は弱いものから貴族までとても急いで魔王の周りに集まり、一致団結して魔王を守ろうとしていた。
しかし、自惚れていた俺は勝手に死んでくれさえすれば、俺が次の魔王になれるなど考えていて、集まりさえしなかった。
そんな中ついに魔王がその彼、勇者デルバートによって打ち倒されてしまう。内心少し喜んだのもつかの間、俺は他の魔族達に反逆者として殺されてしまった…
ああ、これで俺も終わりか…
……おぎゃあ、おぎゃあ
目が覚めると小さな部屋の中にあるかごに俺はいた。
もしかして俺、生きている?さっと手を上げて確認してみる。
わあっ!!
それはごてごてした鋭い爪が生えている俺の手ではなく、人間の赤子のものだった。もしかして俺って…人間になってしまった!!!
すると奥から誰かが来た。女と男の二人組だ。かなり良い身なりだが貴族ではなさそうだった。二人とも胸に大きな勲章をいくつもつけ、剣を身につけている。すると男が俺に話しかけた。
「やっと起きたか、俺の愛しい息子よ!!」「デルバート、あんまり大きな声出さないで、びっくりしちゃうでしょ」「この伝説の勇者の息子であろうものがこんなことに驚いていてどうする!?」「はぁ…」
ん、まった、デルバートだと?もしかして俺、勇者の息子に転生してしまったのか!?
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