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そんなオヤマダさんのファンタスティックな与太話を電話で約1時間ほど聞かされたころ、彼はなかば強制的にホリを飲みに誘ってきた。 ホリからしてみれば長電話に付き合わされたあげく、このあと飲みにまで連れていかれては、はなはだ迷惑なので、 「金欠なので無理です!」 と理由をこじつけて断ったりもした。 だけど間の悪いことに本日は土曜日である。 明日の日曜が休みなので、オヤマダさんはなかなか折れようとしてくれない。 「お前は付き合いが悪くて、つまんねえやつだな!」 (うるせえ、お前のほうがつまらないわ! とホリは心で言い返す) ホリはせっかくの貴重な週末の夜の時間を、オヤマダさんとの酒の付き合いなんかで潰されたくはないのである。 「いやぁ、マジで金がないんですよ...」 「大丈夫だから少し付き合えって」 「いやぁ...」 「ばーか、俺、今日競馬で勝ったから金の心配はいらねえからよ」 「いやぁ...」 「いいから、たまには来いよ、俺が美味いもん食わせてやるから」 「いやぁ...」 「お前、来なかったらブッ飛ばしだからな、とりあえず30分で来いよ」 「いやぁ...」
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