第9章 超能力トーク(目話)鳩の恩返し

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第9章 超能力トーク(目話)鳩の恩返し

洋平はいつものように家でTVを見ていた。 すると途轍もないニュースが飛び込んできた。 洋平が住む地元の山の崖に車が落ちそうになっているというニュースだった。 慌てて洋平は外に出て、地元のその問題の崖まで走った。 現場にたどりつくと、洋平は目が点になった。 乗用車が今にもがけから落ちそうになっている。後部車輪ががけから半分出て宙に浮いている。 そして少しずつがけから下にずれている。中には人がいる。 洋平はあせった。そこはもう多くの人だかりだった。すこしでも車に負荷をかけると崖下に落ちてしまうかもしれない。なんとかしなくては、、、、、 すると洋平の真上の空に1羽の鳩が 飛んでいた。洋平はしきりに目話をした。 右瞼12回、左瞼7回、両瞼28回 、「鳩さん頼む、なんかロープのようなものを持ってきてほしい。 今、目の前の車が崖けから落ちそうなんだ。頼む!」 鳩、右瞼9回、左瞼1回、両瞼38回。「わかった!なんとか探してくる。そして鳩は飛びながら車の中をそっと覗いた。「えええ!5年前に羽を痛めて道路に落ちている僕を拾って羽の怪我を直してくれ、自然の中に返してくれたご主人様だ。なんとかしなくては。」鳩は、鳩にしかわからない特殊な鳴き声を懸命にした。すると20羽の鳩が建築現場からロープをくわえて飛んできた。 そしてそこいら中に飛んでいる鳩はその場所に集まって来た。 1羽の鳩が特殊な鳴き声で必死に叫んでいた。 「仲間よ!頼む!5年前に僕を救ってくれたご主人様が危機に瀕してる。頼む集まってくれ!沢山の仲間を呼んでくれ。」 その鳩の叫びは届いた。その現場の空は、10万羽はいようか。空は鳩一面で真っ白だった。 その光景は圧巻だった。20羽の鳩はその口で建築現場から持ち出したロープを持ち、崖から落ちそうな車の後方部にかけた。そしてその後が圧巻だった。 10万羽の鳩が飛びながら、お互いの足をつかんだ。そして1羽の鳩の合図で始まった。 その鳴き声は「SKY HIGH!SKY HIGH!SKY HIGH!」と言っているように聞こえた。 このニュースを聞きつけた地元のTV局、また海外メディアがこの現場に集まっていた。 このニュースは世界中に同時生中継で放映された。 10万羽の日本の鳩ががけから落ちそうな車をロープを使って持ち上げようとしている。 それを指揮しているのは、1羽の鳩と人間・動物通訳家の青空洋平だった。 洋平はしきりに瞼を動かした。右1000回、左2000回、両瞼4000回。10万羽の鳩に届くように目も回りそうなほどの瞬きだった。 洋平は倒れる寸前だった。 1羽の鳩は洋平の瞼の会話を元に10万羽の鳩に特殊な鳴き声を送った。 すると崖から落ちそうな車が徐々に上がりだした。 世界中はこの素晴らしい光景に固唾をのんだ。 そしてTVの前で全世界の人が「頑張れ!頑張れ!頑張れ!もう少し、もう少し、もう少し!」 10万羽の鳩は徐々に車を持ち上げだした。 「ギ―、ギ―、ギ―」「もう少し!もう少し!もう少し!」 30分くらいたったろうか、車は無事崖の上に上がった。 この瞬間、全世界のTVの前の応援した人達から歓声と拍手が上がった。 車の中から1人の男が出てきて、車の近くで特殊な声を出し続けていた1羽の鳩を抱きしめ、目から涙を流した。 「ポッポ、お前が救ってくれたんだね。ありがとう!」 この1羽の鳩は、この落ちそな車の運転手に5年前に道路で傷ついているのを助けられ、自然に返された。今回空を飛んでいて、洋平と目話したあと、5年前に助けられた主人が危機に瀕しているのに気が付き、10万羽の鳩を集めてきた。 ポッポが洋平に瞼で会話をしてきた。以下をご主人様に伝えて下さいと。 右瞼3回、左瞼3回、両瞼6回。 「ふむ、ふむ」 「ご主人様に助かって良かったと伝えて下さい!」と 洋平は、鳩に目話をした。 右瞼4回、左瞼7回、両瞼12回。 「わかった。そう伝える」と。 鳩のポッポ君がご主人様に「助かってよかったです。」と言っています。 主人は鳩をぎゅっと抱えて目からは大粒の涙が止まらなかった。 このニュースは「鳩の恩返し」として全世界に放映された。 洋平はこの時、初めて自分の存在を感じて、この世に自分が生まれてきたことに心から感謝した。 「ありがとう!」
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